『がちゃがちゃどんどん』抽象画と擬音だけの絵本がなぜ0歳を夢中にさせるのか

「文字が読めない赤ちゃんも、物語がわからない1歳児も、なぜかこの絵本を見せると笑い出す」。そんな不思議な力を持つ絵本があります。

『がちゃがちゃどんどん』は、ストーリーも登場人物もない、擬音と抽象画だけで構成された絵本です。作者は現代美術家として国内外で高く評価された元永定正さん。具体美術協会の中心メンバーとして前衛芸術を牽引し、絵本という形で子どもたちに作品を残しました。

三姉妹と絵本を読んできた中で、この独特の絵本の魅力と、0〜2歳期に出会う意味をお伝えします。

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目次

『がちゃがちゃどんどん』ってどんな絵本?基本情報

『がちゃがちゃどんどん』は、1990年に福音館書店から発行された幼児向け絵本です。対象年齢は2歳以上とされていますが、絵本ナビのレビューでは0歳から楽しんでいる声も多く見られます。

ストーリーのない絵本

この絵本には、従来の絵本のようなストーリーがありません。ページをめくると、擬音語と抽象的な色彩の絵だけが広がります。

「がちゃがちゃ どんどん」「ぽぽぽぽぽ」「ぎーこ ぎーこ」といった音の言葉に合わせて、カラフルで抽象的な形が躍動します。絵本ナビのレビューには「絵と音がぴったり一致し、絵からちゃんとその音が聞こえてくる」という評価が寄せられています。

作者について

作・絵を手がけたのは元永定正さん(1922-2011)。前衛美術家として国内外で高く評価され、紫綬褒章を受章した現代美術家です。

中央児童福祉審議会推薦

『がちゃがちゃどんどん』は中央児童福祉審議会の推薦を受けており、話し始めた幼児にぴったりの絵本として専門家から評価されています。

福音館書店「0.1.2.えほん」シリーズ

この絵本は福音館書店の「0.1.2.えほん」(こどものとも0.1.2.)シリーズの一冊です。角は丸く、厚紙でできているため折れにくく、つるっとしたコーティングで多少のよだれや汚れも大丈夫。10ヶ月を過ぎるころから絵本を楽しめるようになる赤ちゃんを対象に、親子のふれあいの時間を作る絵本として設計されています。

作者・元永定正さんってどんな人?現代美術家の絵本

『がちゃがちゃどんどん』を理解する上で、作者・元永定正さんの背景を知ることは欠かせません。元永さんは一般的な絵本作家とは異なる経歴を持つ現代美術家でした。

具体美術協会の中心メンバー

元永定正さんは1922年に三重県で生まれ、1940年に大阪中之島美術研究所に入所しました。1955年、33歳のときに「具体美術協会」に参加します。

具体美術協会は吉原治良を中心とした日本の前衛美術運動で、元永さんは16年間、中心メンバーとして活動しました。1955年の芦屋市展に出品した作品が吉原治良の目に留まり、「真夏の太陽に挑むモダンアート野外実験」展に参加。インクで染めた水をビニールシートに入れて吊るした作品は「水の彫刻」と絶賛されました。

受賞歴と国際的評価

1964年の第6回現代日本美術展、1966年の第7回同展で2年連続優秀賞を受賞。1966年にはジャパン・ソサエティの招聘によりニューヨークへ渡米しています。前衛美術家としては初めて紫綬褒章を受章するなど、国内外で高い評価を受けました。

1970年代以降の活動

1970年の大阪万国博覧会の具体美術祭りに参加後、1971年10月に具体美術協会を脱退。1980年代以降は国内外の関連展覧会に積極的に参加し、絵本原画展も数多く開催しました。

「見たことのない絵本を作ろう」

元永さんは前衛美術家として、「見たことのない絵本を作ろう」という姿勢で絵本制作に臨んでいました。美術評論でも「元永定正は日本を代表するモダンアートの鬼才」と評されています。2011年10月3日、前立腺がんのため88歳で逝去されました。

他の絵本作品

元永定正さんは『がちゃがちゃどんどん』以外にも、擬音と抽象画を組み合わせた絵本を数多く手がけています。

  • 『もこもこもこ』(谷川俊太郎・作、元永定正・絵、1977年発売):750件以上のレビューがある大ロングセラー
  • 『もけらもけら』
  • 『ころころころ』
  • 『あみだだだ』(谷川俊太郎、中辻悦子との共著)
  • 『ココロのヒカリ』(谷川俊太郎との共著)
  • 『いろ いきてる!』(谷川俊太郎との共著)

いずれも音・色・形の抽象的な表現を通じて、子どもたちの感性に訴えかける作品です。

なぜ「物語がない絵本」が0〜2歳を夢中にさせるのか

ストーリーも登場人物もない『がちゃがちゃどんどん』が、なぜ小さな子どもたちを惹きつけるのでしょうか。

意味よりも音そのものを楽しむ

0歳から2歳の子どもたちは、言語の意味を理解する前に、音やリズムそのものに反応します。育児書では「話し始めた幼児は擬音語に強く反応する」と紹介されています。

『がちゃがちゃどんどん』は、意味を理解する必要がありません。「がちゃがちゃ」「どんどん」といった擬音語は、それ自体が楽しい音として子どもの耳に届きます。絵本ナビのレビューには「ぐずぐず泣いている子どもに見せたところぴたりと泣き止んだ」という声も寄せられています。

抽象画だからこそ自由な解釈ができる

一般的な絵本は「りんご」「犬」「車」といった具体的なものが描かれていますが、『がちゃがちゃどんどん』に描かれているのは抽象的な色と形です。

この抽象性は、子どもたちに自由な解釈を許します。大人が「これは〇〇だよ」と説明する必要がなく、子ども自身が色や形から感じ取ったものを楽しめます。育児専門家の間では「抽象絵本は子どもの想像力を制限しない」と言われています。

読み方次第で何通りにも変化する

『がちゃがちゃどんどん』には決まった読み方がありません。声の高低、テンポの速さ、間の取り方を変えるだけで、まったく違う印象になります。

絵本ナビのレビューには「オノマトペのリズムと絵が最高に良かった」という評価があり、読み手の演出次第で何度読んでも新鮮な体験を届けられます。

音絵本・擬音絵本の効果

音絵本や擬音絵本は、聴覚の発達、リズム感の形成、親子コミュニケーションを促すと言われています。育児情報サイトでは「0歳から2歳は歌や音楽に合わせて体を動かすことでリズム感を養える時期」と紹介されています。

『がちゃがちゃどんどん』のような音と絵が一体となった絵本は、言語発達の前段階にいる子どもたちにとって、音と視覚を結びつける貴重な体験になります。

『がちゃがちゃどんどん』の読み方のコツ

『がちゃがちゃどんどん』を読むとき、少しの工夫で子どもの反応がぐっと変わります。

音に強弱をつける

「がちゃがちゃ」を大きな声で、「ぽぽぽぽぽ」を小さな声で読んでみてください。音の大小をつけることで、子どもは音の違いに敏感に反応します。

テンポを自由に変える

ページによって読むテンポを変えてみましょう。「どんどん」を速く連続で読んだり、「ぎーこ ぎーこ」をゆっくり引き延ばしたり。同じ音でもテンポ次第で印象がまったく変わります。

絵をじっくり見せる間を作る

音を読んだあと、少し間を空けて絵をじっくり見せる時間を作ると、子どもは絵と音を結びつけることができます。急いでページをめくらず、子どもが絵を見つめている時間を大切にしましょう。

繰り返し読んでも飽きない理由

ストーリーがないため、「もう知っている」という感覚がありません。毎回違う読み方で楽しめるため、繰り返し読んでも新鮮さが失われません。絵本ナビのレビューでは「何度読んでも子どもが喜ぶ」という声が多く見られます。

パパの低音で読むと迫力が出る

パパの低い声で「どんどん」「がちゃがちゃ」を読むと、迫力が増します。ママの高い声とパパの低い声で交互に読むのも、バリエーションとして楽しめます。

絵本ナビのレビューには「絵と音がぴったり一致し、絵からちゃんとその音が聞こえてくる」という評価があり、読み手が音のイメージを膨らませて読むことが大切だと言えます。

同じ作者の他の絵本も要チェック

元永定正さんの絵本は、『がちゃがちゃどんどん』だけではありません。いくつか揃えて読み比べると、さらに楽しみが広がります。

『もこもこもこ』(谷川俊太郎・作、元永定正・絵)

1977年発売のロングセラーで、絵本ナビには750件以上のレビューが寄せられています。「もこもこ」「にょきにょき」「ぱちん!」といった不思議な擬音と抽象画で構成され、『がちゃがちゃどんどん』と同じく物語のない絵本です。

谷川俊太郎さんは「見たことのない絵本を作ろう」としていた元永定正さんと組み、数多くの抽象絵本を生み出しました。

『もけらもけら』

元永定正さんの他の代表作。こちらも擬音と色彩の絵本として人気があります。

『ころころころ』

丸い形が「ころころ」転がる様子を、シンプルな絵と音で表現した作品です。

元永定正作品を複数揃えて読み比べる楽しみ

元永定正さんの絵本を複数読むと、同じ擬音・抽象という手法でも、それぞれの作品に個性があることに気づきます。子どもが特に気に入る作品を見つける楽しみもあります。

どこで買える?試し読みはできる?

『がちゃがちゃどんどん』を手に入れる方法をご紹介します。

主な購入場所

『がちゃがちゃどんどん』は、Amazon・楽天ブックス・絵本ナビなどのオンライン書店で購入できます。福音館書店の公式サイトでも取り扱っています。全国の書店では、福音館書店の定番絵本コーナーに置かれていることが多いです。

試し読み・確認方法

絵本ナビでは、数ページの試し読みが可能です。実際のページを見て、絵と音の雰囲気を確認できます。

また、図書館で借りて実際の子どもの反応を見てから購入するのもおすすめです。『がちゃがちゃどんどん』は多くの公立図書館に所蔵されています。福音館書店の「こどものとも0.1.2.」を定期購読していると、月替わりの絵本の中で出会うこともあります。

価格・シリーズ情報

『がちゃがちゃどんどん』は福音館書店「0.1.2.えほん」シリーズの一冊です。厚紙のハードカバーで、赤ちゃんが安全に扱える設計になっています。

同じシリーズには他にも0〜2歳向けの絵本が数多くラインナップされており、『ぐりとぐら』『おおきなかぶ』などの名作を生んだ福音館書店の安心感があります。

月刊絵本シリーズ「こどものとも0.1.2.」は、毎月ソフトカバー版の絵本が届く形式で、1冊460円とリーズナブルです。厚紙のハードカバー版とは装丁が異なりますが、内容は同じです。

まとめ — 抽象絵本との出会いが感性を広げる

『がちゃがちゃどんどん』は、従来の物語絵本とは異なる体験を届けてくれる一冊です。

現代美術家・元永定正さんが「見たことのない絵本を作ろう」という姿勢で生み出したこの作品は、ストーリーも登場人物もありません。あるのは、擬音と抽象的な色彩だけです。

しかしだからこそ、0〜2歳の子どもたちは、意味を理解する必要なく、音そのもの、色そのものを楽しむことができます。育児の専門家の間では「抽象絵本は子どもの想像力を制限しない」と言われています。

読み方次第で何通りにも変化し、何度読んでも新しい発見があります。パパの低音、ママの高音、テンポの緩急、間の取り方。読み手の工夫次第で、毎回違う体験を届けられる絵本です。

絵本の世界に正解はありません。『がちゃがちゃどんどん』は、子どもたちに「こう読まなければいけない」「こう感じなければいけない」というルールを押し付けず、自由な感性を育むきっかけを与えてくれます。

0歳から2歳という、言葉の意味を超えて音と色を楽しめる時期だからこそ、『がちゃがちゃどんどん』のような抽象絵本との出会いが貴重な体験になります。

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この記事を書いた人

三姉妹のパパ「たっさん」です。
育休10ヶ月を取った30代会社員。
家族で実際に楽しんだ絵本・まんが・アニメを、
年齢別おすすめ・正直レビュー・パパ目線で発信しています。

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