『ぼくのニセモノをつくるには』パパ目線レビュー|自分を知る哲学絵本【ヨシタケシンスケ】

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「自分の代わりに宿題やお手伝いをしてくれるロボットがいたらいいのに…」

そんな風に子どもが言ったことはありませんか?

ヨシタケシンスケさんの絵本『ぼくのニセモノをつくるには』は、まさにこの発想からスタートします。でも、ロボットに自分のことを教えるためには、まず「ぼくって何?」を知らなければならない。その過程で、子どもは自然に「自分とは何か」を考え始めます。

この記事では、三姉妹を育てるパパ目線で『ぼくのニセモノをつくるには』の魅力をレビューします。自己理解を育てる絵本として、なぜこの絵本が4歳〜小学生、そして大人にまで響くのかを、他のヨシタケ作品との比較も交えて解説します。

最後まで読むと、この絵本の哲学的な深さと、親子で「自分らしさ」について語り合うきっかけの作り方がわかります。

目次

『ぼくのニセモノをつくるには』ってどんな絵本?基本情報

『ぼくのニセモノをつくるには』は、2014年にブロンズ新社から出版されたヨシタケシンスケさんの絵本です。デビュー作『りんごかもしれない』で注目を集めた後、2作目となる思考型絵本として発表されました。

基本スペック

  • タイトル:ぼくのニセモノをつくるには
  • 作・絵:ヨシタケシンスケ
  • 出版社:ブロンズ新社
  • 出版年:2014年
  • ページ数:32ページ
  • 対象年齢:4歳〜小学生(公式目安)
  • サイズ:B5変型判

受賞歴

  • MOE絵本屋さん大賞 2015年度 第2位
  • 第61回産経児童出版文化賞 美術賞

『りんごかもしれない』に続き、ヨシタケシンスケさんの「思考型絵本」の代表作として高く評価されています。シンプルな線画とモノクロ基調のイラストが、考える余白を生み出しているのが特徴です。

あらすじ:自分の代わりのロボットを作ろうとする男の子

主人公は、宿題やお手伝いが面倒だと思っている男の子です。「自分の代わりにロボットがやってくれたらいいのに」と考えます。

そこで、ニセモノのロボットを作ろうと決心。でも、ロボットに自分の代わりをさせるためには、ロボットに「ぼくのこと」を教えなければなりません。

男の子は考え始めます。

  • ぼくの好きな食べ物は?
  • ぼくの得意なことは?
  • ぼくはどんな時に怒る?
  • ぼくって、本当はどんな人間?

考えれば考えるほど、「ぼくのこと」がよくわからなくなってきます。自分のことなのに、意外と説明できない。そして最後に、男の子はある結論に辿り着きます——。

(ネタバレを避けるため、ラストは実際の絵本でお楽しみください)

あらすじのポイント

  • 「面倒を避けたい」という子どもらしい動機からスタート
  • 自分を説明しようとして、自分の複雑さに気づく
  • 哲学的な問いに自然に誘導される構成

ヨシタケシンスケさんの絵本は、日常の些細な発想から始まって、気づけば深い問いに到達する構成が見事です。『ぼくのニセモノをつくるには』も、その典型例と言えます。

「自分とは何か」を考える哲学的な構成

この絵本の最大の魅力は、子どもに「自分とは何か」という哲学的な問いを自然に投げかける点です。

自己認識の難しさを体験させる

「ぼくのニセモノを作る」という目的のために、男の子は自分を客観視しようとします。でも、自分を説明しようとすると、こんな疑問が次々に湧いてきます。

  • ぼくは「明るい性格」?でも時々暗くなる時もある
  • ぼくは「優しい」?でも意地悪したくなる時もある
  • 「ぼく」って、毎日同じじゃないかもしれない

この「自分は一つじゃない」「自分は変わる」という気づきは、大人でも難しいアイデンティティの問題です。それを子どもにもわかる言葉で描いています。

ヨシタケ流「思考の見える化」

ヨシタケシンスケさんの絵本の特徴は、主人公の思考過程を細かく図解することです。『ぼくのニセモノをつくるには』でも、男の子の頭の中がイラストで次々に展開されます。

  • 「ぼくの好きなもの一覧」
  • 「ぼくの苦手なもの一覧」
  • 「ぼくが怒る時のパターン」
  • 「ぼくの複雑な気持ち」

こうしたビジュアルによって、抽象的な思考が「見える」ようになり、子どもも大人も一緒に考えやすくなっています。

親子で「自分って何?」を話し合うきっかけ

この絵本を読んだ後、自然に親子で話したくなるテーマが生まれます。

  • 「あなたって、どんな子だと思う?」
  • 「ママ(パパ)のニセモノを作るなら、何を教える?」
  • 「自分のこと、どれくらい知ってる?」

こうした問いかけが、子どもの自己理解を深め、親にとっても子どもの内面を知るきっかけになります。

自己理解・自己肯定感を育てる絵本としての価値

『ぼくのニセモノをつくるには』は、教育的な観点からも高く評価されています。特に「自己理解」と「自己肯定感」を育てる絵本として、保育現場や教育現場でも活用されています。

自己理解を促す構造

心理学では、自己理解(セルフ・アウェアネス)は、自己肯定感の土台とされています。この絵本は、以下のステップで自然に自己理解を促します。

  1. 自分を言語化する:「ぼく」を説明しようとする
  2. 複雑さに気づく:自分は一つじゃないと知る
  3. 受け入れる:それでいいんだと思える

特に、ラストの結論が「完璧じゃない自分でもいい」という肯定的なメッセージにつながっているのが秀逸です。

「自分らしさ」を肯定する

この絵本のもう一つの価値は、「自分らしさ」を大切にするメッセージです。ロボットに自分を完全にコピーさせることは不可能だと気づいた男の子は、結果的に「自分は自分でしかない」ことを受け入れます。

この「自分は唯一無二」という気づきは、子どもの自己肯定感を育てる上で非常に重要です。

4〜5歳から読める哲学絵本

哲学的なテーマを扱いながら、4〜5歳でも楽しめる構成になっている点も評価されています。難しい言葉は使わず、子どもの視点で語られるため、小さな子どもでも「自分のことを考える」体験ができます。

ヨシタケシンスケの3作比較(りんご・もうぬげない・ニセモノ)

ヨシタケシンスケさんの代表作3作を比較すると、それぞれの特徴が見えてきます。

作品名 テーマ 思考の種類 対象年齢
りんごかもしれない 「見る」ことの多様性 想像力・発想力 4歳〜小学生
もう ぬげない 「困った」をポジティブに変える ユーモア・切り替え力 2〜5歳
ぼくのニセモノをつくるには 「自分」を知る 自己理解・哲学的思考 4歳〜小学生・大人も

3作の共通点

  • 日常の些細な出来事から深い問いへ展開
  • 思考過程を図解・見える化する
  • 子どもの視点で語られる親しみやすさ

『ぼくのニセモノをつくるには』の独自性

3作の中で最も「内省的」で「哲学的」なのが『ぼくのニセモノをつくるには』です。『りんごかもしれない』が外の世界に向かう想像力なら、『ぼくのニセモノをつくるには』は内側に向かう自己理解です。

そのため、4〜5歳で楽しみ始め、小学生で深く理解し、大人が読み返しても新しい発見がある「成長とともに読める絵本」になっています。

ヨシタケ作品を揃えるなら

  • まず1冊目:『りんごかもしれない』(想像力の入口)
  • 2冊目:『もう ぬげない』(ユーモアと共感)
  • 3冊目:『ぼくのニセモノをつくるには』(哲学的思考へ)

この順番で読むと、ヨシタケワールドの広がりと深まりを楽しめます。

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年齢別の楽しみ方(4〜5歳/小学生/大人)

『ぼくのニセモノをつくるには』は、年齢によって響くポイントが変わる絵本です。

4〜5歳:「ぼくのこと」を言葉にする練習

この年齢では、まだ「自分とは何か」を深く考えることは難しいかもしれません。でも、絵本を通して「ぼくの好きなもの」「ぼくの嫌いなもの」を言葉にする練習ができます。

読み聞かせのコツ:

  • 「あなたの好きな食べ物は?」と問いかけながら読む
  • 「あなたのニセモノを作るなら、何を教える?」と遊び感覚で話す

小学生:「自分」を客観視する力が育つ

小学生になると、自己客観視の力が育ち始めます。この絵本を読むことで、「自分って意外と複雑だ」「自分のことを説明するのは難しい」という気づきが生まれます。

読み聞かせのコツ:

  • 「自分のこと、どれくらい知ってると思う?」と問いかける
  • 「友達のニセモノを作るなら?」と視点を広げる

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大人:改めて「自分」を見つめ直すきっかけ

大人が読むと、また違った響き方をします。「自分とは何か」という問いは、大人になっても答えが出ない問いです。この絵本は、そのことを優しく思い出させてくれます。

大人にとっての価値:

  • 子どもの内面を理解する手がかり
  • 自分自身の複雑さを受け入れる視点
  • 「完璧じゃなくていい」というメッセージの再確認

親子で一緒に読む価値

この絵本は、親子で一緒に読むことで価値が何倍にも膨らみます。読んだ後に「自分ってどんな人?」と親子で語り合う時間が、何よりの財産になります。

パパが読み聞かせるコツ+まとめ

『ぼくのニセモノをつくるには』をパパが読み聞かせる時のコツをまとめます。

読み聞かせのコツ

1. 質問を投げかけながら読む

この絵本は、一方的に読むよりも、途中で問いかけながら読む方が楽しめます。

  • 「あなたの好きな食べ物は何?」
  • 「あなたのニセモノを作るなら、何を教える?」
  • 「パパのニセモノを作るなら、どうする?」

こうした問いかけが、子どもの思考を活性化します。

2. 答えを急がない

「自分とは何か」という問いには、正解はありません。子どもが考え込んでいたら、急かさずに待ってあげてください。「わからない」という答えも、大切な気づきです。

3. パパ自身の答えも共有する

「パパのニセモノを作るなら、パパはこう教えるかな」と、パパ自身の考えを共有すると、子どもも話しやすくなります。大人も完璧に自分を説明できないことを伝えると、子どもも安心します。

4. 1回で終わらせない

この絵本は、読むたびに新しい発見があります。時間を置いて何度も読み返すと、子どもの成長とともに響き方が変わります。

まとめ:自己理解を育てる哲学絵本

『ぼくのニセモノをつくるには』は、子どもに「自分とは何か」を考えさせる哲学絵本です。

この絵本の魅力:

  • 日常の発想から哲学的な問いへ自然に誘導
  • 自己理解・自己肯定感を育てる
  • 4歳〜大人まで、成長とともに読める
  • 親子で「自分らしさ」を語り合うきっかけ

パパ目線でのおすすめポイント:

  • 「自分のことを考える」という体験を親子で共有できる
  • ヨシタケシンスケ作品の中で最も内省的・哲学的
  • 小学生になっても読み返す価値がある

まずは図書館で借りてみて、子どもの反応を見てみてください。きっと「もう1回読みたい」と言われるはずです。

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この記事を書いた人

三姉妹のパパ「たっさん」です。
育休10ヶ月を取った30代会社員。
家族で実際に楽しんだ絵本・まんが・アニメを、
年齢別おすすめ・正直レビュー・パパ目線で発信しています。

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