「もう けっこう」。何度もこの言葉を浴びせられた象のぐるんぱ。ビスケット屋でも、お皿屋でも、靴屋でも、作るものが大きすぎて断られ続けます。
でも、ぐるんぱは諦めませんでした。いえ、正確には、失敗の経験すべてが最後に実を結びます。
1966年に福音館書店から発売され、60年近く読み継がれてきた『ぐるんぱのようちえん』。この絵本が今も愛される理由は、失敗を経験に変える物語だからです。
三姉妹と絵本を読んできた中で、『ぐるんぱのようちえん』が子どもの自己肯定感を育む理由を整理しました。
『ぐるんぱのようちえん』ってどんな絵本?基本情報
『ぐるんぱのようちえん』は、作家・西内ミナミさんと画家・堀内誠一さんが1966年に発表したロングセラー絵本です。福音館書店の「こどものとも」シリーズの1冊として長く愛されてきました。
書籍情報
- タイトル:ぐるんぱのようちえん
- さく:西内ミナミ
- え:堀内誠一
- 出版社:福音館書店
- 初版:1966年
- 対象年齢:読んであげるなら4才から、自分で読むなら小学低学年から
- ページ数:28ページ
60年近く読み継がれる本作は、絵本ナビで366件のレビューが寄せられており、多くの親子に支持されています。
あらすじ — 失敗の連続の先に見つけた居場所
ぐるんぱは、とても大きな象。ずっとひとりぼっちで暮らしてきました。ある日、仲間の象たちに「働きに行きなさい」と言われ、外の世界へ旅立ちます。
ビスケット屋さんでは、大きなビスケットを作りますが「こんなに大きなビスケットは売り物にならない。もう けっこう」と断られます。お皿屋さんでも、靴屋さんでも、ピアノ屋さんでも、同じように「大きすぎる」と断られ続けます。
しょんぼりしたぐるんぱが、12人も子どもがいるお母さんに出会います。お母さんは「あなたが作った大きなものを、子どもたちの遊び道具にしましょう」と言います。
大きなビスケットはテーブルに、大きなお皿はプールに、大きな靴はすべり台に。ぐるんぱが失敗だと思っていたものすべてが、子どもたちの笑顔を生み出す道具になりました。こうしてぐるんぱの幼稚園が生まれます。
なぜ親は『ぐるんぱ』を子どもに読むのか?3つの理由
絵本ナビのレビューには「大人も考えさせられる」「失敗が怖くなくなる絵本」という声が多数寄せられています。親が子どもにこの絵本を読む理由を3つに整理しました。
失敗しても大丈夫だと教えてくれる
ぐるんぱは何度も「もう けっこう」と断られます。失敗を繰り返す場面が続くので、読んでいる子どもは「大丈夫かな」とハラハラします。
でも最後には、すべての失敗が意味を持つ展開が待っています。この物語は、子どもに「失敗しても大丈夫。次がある」という安心感を与えてくれます。
幼児教育の研究では、失敗を恐れずに挑戦する力は、幼少期の経験から育まれると言われています。絵本を通じて「失敗は怖くない」と学ぶことは、子どもの挑戦する心を支える土台になります。
経験は無駄にならないと伝えられる
ぐるんぱがビスケット屋で作った大きなビスケット、お皿屋で作った大きなお皿、靴屋で作った大きな靴。これらはすべて「失敗作」として断られました。
でも最後には、それらがすべて幼稚園の遊び道具として子どもたちを喜ばせます。失敗だと思っていた経験が、実は無駄ではなかったという展開です。
絵本ナビのレビューには「経験は無駄にはならない。いろいろな仕事に挑戦したぐるんぱだからこそ作ることができた『ぐるんぱのようちえん』」という声があります。
大人にとっても刺さるメッセージです。子育て中の親は、育児で思い通りにいかないことが多く、自分の経験が役に立っているのか不安になることがあります。この絵本は「すべての経験は無駄にならない」と教えてくれます。
自分の居場所を見つける喜びを描いている
ぐるんぱは最初、ひとりぼっちで「さみしがりやのぞう」でした。仕事を転々としても、どこにも居場所が見つかりませんでした。
でも最後には、12人の子どもたちとお母さんに出会い、自分の居場所を見つけます。「ぐるんぱは もう さみしくありません」という結びの言葉が、読者にほっこりした安心感を与えてくれます。
子どもは成長する中で「自分の居場所はどこだろう」と探します。絵本を通じて「自分に合った場所がきっとある」と知ることは、子どもの心の支えになります。
作者・西内ミナミさんに投影された「転職する自分」
『ぐるんぱのようちえん』の作者・西内ミナミさんは、この物語を執筆した当時26歳で、コピーライターとして事務所を転々としていました。
象が職業を転々とする不器用な姿には、作者自身の経験が投影されています。「職場を転々とする自分は、どこに居場所があるのだろう」という問いが、この物語の原点にあったのかもしれません。
絵本ナビのレビューには「象を転々として職業を変える不器用な象のぐるんぱには、当時26歳でコピーライターとして事務所を転々としていた作者の西内ミナミさんの姿が投影されています」という解説があります。
自分の経験を絵本に昇華した西内ミナミさんの物語は、60年近く経った今も、多くの人の心を支え続けています。
堀内誠一さんの絵が生み出す温かさ
『ぐるんぱのようちえん』のもう一人の立役者が、絵を担当した堀内誠一さんです。
堀内誠一さんのプロフィール
堀内誠一さんは、1932年東京生まれのグラフィックデザイナー・絵本作家です。『たろうのおでかけ』で絵本デビュー後、『ぐるんぱのようちえん』『くろうまブランキー』など多数の名作を手がけました。
1987年に54歳で亡くなるまで、絵本のみならず雑誌『anan』『POPEYE』のアートディレクターとしても活躍しました。
色鮮やかで温かみのある絵
堀内誠一さんの絵は、色鮮やかで温かみがあります。ぐるんぱの大きな体と優しい表情が、子どもたちに安心感を与えます。
また、ビスケット・お皿・靴・ピアノなど、ぐるんぱが作る「大きすぎるもの」が、子どもたちの想像力をかき立てます。「こんなに大きいビスケットがあったら面白いね」と親子で会話するきっかけになります。
絵本ナビのレビューには「色鮮やかな絵が魅力的」「堀内誠一さんの絵が好き」という声が多く寄せられています。
年齢別の楽しみ方 — 4歳から小学生まで
『ぐるんぱのようちえん』は、対象年齢4歳からですが、子どもの年齢に応じて受け取り方が変わる絵本です。
4歳〜5歳:ストーリーを楽しむ
4歳くらいから、ぐるんぱが断られる場面を理解できるようになります。「もう けっこう」と言われる場面で、子どもは「かわいそう」「大丈夫かな」とハラハラします。
最後に幼稚園ができる場面では「よかったね」と安心します。ストーリーの起承転結を楽しめる年齢です。
小学生:失敗の意味を考える
小学生になると、ぐるんぱの経験が無駄にならなかったという深いメッセージを理解できるようになります。「失敗したと思ったことが、後で役に立つことがあるんだ」と気づく子どももいます。
絵本ナビのレビューには「大人になった私が『ぐるんぱのようちえん』から学んだこと」という感想もあり、大人が読んでも考えさせられる内容です。
読み聞かせのコツ
「もう けっこう」と断られる場面では、少し悲しい声で読むと、子どもは感情移入しやすくなります。最後の「ぐるんぱは もう さみしくありません」という結びは、明るく温かい声で読むと、子どもに安心感が伝わります。
声のトーンを変えることで、物語の起伏が際立ち、子どもは最後まで集中して聞いてくれます。
親子で考えたい「働くこと」「自分らしさ」
『ぐるんぱのようちえん』は、子どもだけでなく大人にも刺さるメッセージを持っています。
働くって何だろう?
ぐるんぱは、ビスケット屋でも靴屋でも真面目に働きました。でも、どこでも「合わない」と断られました。では、ぐるんぱは働く能力がなかったのでしょうか。
そうではありません。ぐるんぱには、ぐるんぱに合った働き方があったのです。それが「幼稚園を開く」ことでした。
この物語は「自分に合った働き方を見つけることが大切」というメッセージを伝えています。大人にとっても、転職や働き方を見直すきっかけになる絵本です。
自分らしさを見つける旅
ぐるんぱが職場を転々とする姿は、自分らしさを見つける旅そのものです。失敗を繰り返しながらも、最後には「自分だからこそできること」を見つけます。
子どもは成長する中で、自分らしさを探します。親がこの絵本を読み聞かせることで「自分に合ったやり方があるんだよ」と伝えることができます。
親子でこの絵本を読みながら「働くって何だろう」「自分らしさって何だろう」と対話する時間は、子どもの価値観を育む貴重な機会になります。
どこで読める?購入先ガイド
『ぐるんぱのようちえん』はさまざまな場所で購入・閲覧できます。ご自身のライフスタイルに合わせて選んでみてください。
オンライン書店
Amazon、楽天ブックス、絵本ナビなどのオンライン書店で購入できます。価格は1,100円(税込)です。
絵本ナビでは、366件のレビューが掲載されており、他の読者の感想を参考にすることができます。
書店・図書館
全国の書店で購入できます。また、ロングセラー絵本なので、多くの図書館に所蔵されています。まずは図書館で借りて読んでみるのもおすすめです。
試し読みサービス
絵本ナビでは、一部のページを試し読みできるサービスがあります。購入前に雰囲気を確認したい方は、ぜひ活用してみてください。
まとめ:失敗を恐れない心を育む絵本
『ぐるんぱのようちえん』は、60年近く読み継がれるロングセラー絵本です。
ぐるんぱが何度も失敗しながら、最後には自分の居場所を見つける物語は、子どもに「失敗しても大丈夫」「経験は無駄にならない」というメッセージを伝えてくれます。
西内ミナミさんの等身大の物語と、堀内誠一さんの温かい絵が、親子の心を支え続けています。
三姉妹と絵本を読む中で、この絵本が子どもの自己肯定感を育む一冊だと実感しています。失敗を恐れずに挑戦する心を、絵本を通じて子どもに伝えてみませんか。


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