『どうぞのいす』優しさが循環する絵本 — 2〜4歳の心に思いやりを育てる物語

「でも からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく」

ウサギが作った「どうぞのいす」に、次々と動物たちがやってくる。食べ物を置いて、また別の食べ物を置いていく。この優しさのリレーを描いた『どうぞのいす』は、1981年の発売から120刷を超えるロングセラー絵本です。

絵本ナビのレビューには「思いやりにあふれたストーリー」「相手の気持ちを考えるきっかけになる」という声が多数寄せられています。なぜ40年以上も愛され続けているのでしょうか。

三姉妹と絵本を読んできた中で、『どうぞのいす』が2〜4歳の子どもの心に思いやりを自然に育む理由を整理しました。

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目次

『どうぞのいす』ってどんな絵本?基本情報

『どうぞのいす』は、作家・香山美子さん、画家・柿本幸造さんが1981年にひさかたチャイルドから発表した絵本です。初版から40年以上を経て、現在も多くの家庭や保育園・幼稚園で読み継がれています。

書籍情報・刷数

  • タイトル:どうぞのいす
  • 作:香山美子
  • 絵:柿本幸造
  • 出版社:ひさかたチャイルド
  • 発売年:1981年11月11日
  • 対象年齢:3〜4歳(公式)
  • 刷数:2017年時点で120刷超

対象年齢は3〜4歳ですが、絵本ナビのレビューには「2歳5か月の孫娘も楽しんでいる」「1〜2歳でも最後まで集中して聞ける」という声もあります。柔らかくわかりやすい絵と、シンプルなストーリーで、幅広い年齢層が楽しめます。

あらすじ — 優しさのリレーが始まる

ウサギさんが小さな椅子を作り、野原の木の下に「どうぞのいす」と書いた立て札と一緒に置きました。

最初にやってきたロバさんは、椅子の上にどんぐりがいっぱい入ったカゴを置いて、木の下で昼寝をします。次にやってきたクマさんは、どんぐりを全部食べてしまいますが、「でも からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく」と言って、持っていたはちみつをカゴに入れていきます。

その後、キツネさん、リスさんと次々に動物たちがやってきて、それぞれが同じように「からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく」と考えて、食べ物を置いていきます。最後にロバさんが目を覚ますと、カゴの中身は全く別のものに変わっていて、不思議そうな表情で物語は終わります。

絵本ナビのレビューでは「優しい心づかいとかわいい勘違いで心温まるストーリー」と評されています。

なぜ『どうぞのいす』は思いやりを育てるのか?3つの理由

『どうぞのいす』が2〜4歳の子どもに支持される理由は、思いやりを自然に伝える仕掛けにあります。

「次の人を思いやる」リレー型ストーリー

この絵本の最大の特徴は、動物たちが「あとの ひとに おきのどく」と口をそろえて言うことです。誰かに教わったわけでも、誰かが見ているわけでもないのに、全員が同じように次の人のことを考えています。

絵本ナビのレビューには「相手の気持ちを考えることやモノを共有するという事に関する悩みが多い3歳児に読むことで、本作のメッセージが1番響く」という保育士の声があります。

幼児教育の研究では、道徳的な価値観を押し付けるのではなく、物語を通じて自然に「そうしたいな」と思える体験が大切だと言われています。『どうぞのいす』は、説教臭さがなく、優しさが循環する様子を見せてくれます。

繰り返しのリズムで安心感

この絵本は、同じパターンが繰り返されます。動物がやってくる→食べる→「あとの ひとに おきのどく」と言って置いていく。この繰り返しが、子どもに安心感を与えます。

2〜4歳の子どもは、繰り返しのある物語を好むと言われています。次に何が起こるか予想できることで、物語に参加している感覚が生まれ、集中力が続きます。絵本ナビのレビューには「長く楽しむことできる作品」という評価があります。

柿本幸造さんの温かな絵

絵を担当した柿本幸造さんは、『くじらぐも』(光村図書・小学校国語教科書)や「どんくまさん」シリーズなどで知られる童画家です。優しいタッチで描かれた動物たちの表情が、物語の温かさを一層引き立てています。

絵本ナビのレビューには「絵もかわいい」「ほのぼのとしてかわいい内容」という声が多く寄せられています。ウサギの困り顔、クマの満足そうな顔、ロバの不思議そうな顔。どの表情も柔らかく、子どもが親しみやすいデザインです。

年齢別の楽しみ方 — 2歳から小学生まで

『どうぞのいす』は年齢に応じて受け取り方が変わる絵本です。それぞれの年齢でどんな楽しみ方ができるのか見ていきましょう。

2歳:絵を見て安心する

2歳くらいからでも楽しめます。絵本ナビのレビューには「2歳5か月の孫娘も、ほのぼのとしてかわいい内容で、オチも楽しいし、絵もかわいいと楽しんでいる」という報告があります。

ストーリーを完全に理解できなくても、動物たちの優しい表情や、繰り返される「どうぞのいす」のフレーズが、安心感を与えてくれます。

3歳〜4歳:「あとのひと」を理解する

対象年齢の3〜4歳になると、「あとの ひとに おきのどく」という言葉の意味を理解し始めます。保育士のレビューには「3歳児は人間関係で困ることが増える時期であり、モノの貸し借り等でトラブルが起こっている時に読むことで、『どうぞのいす』が相手の気持ちを考えたりするきっかけになり得る」とあります。

「次の人のために」という考え方を、押し付けではなく自然に受け取れる年齢です。

5歳以降:オチを楽しむ・シリーズで広がる

5歳以降になると、ロバさんが最後に目覚めたときの「不思議そうな顔」に気づき、オチを理解して笑います。また、『どうぞのいす』には続編があり、シリーズで楽しむこともできます。

小学校低学年でも読み聞かせ会で使われることが多く、「読み聞かせのコツ」を紹介するブログでは「落ち着いた雰囲気で読み、読んだ後に感想等を求めるのは避けるべき」とアドバイスされています。静かに、優しい余韻を残す読み方が推奨されています。

作者について — 香山美子さんと柿本幸造さん

『どうぞのいす』は、作家・香山美子さんと画家・柿本幸造さんという、日本の児童文学界を代表する二人のコラボレーション作品です。

香山美子さん — 童謡「げんこつやまのたぬきさん」の作詞者

香山美子さんは1928年東京生まれの児童文学作家・詩人です。旧制金城女子専門学校(現・金城学院大学)国文学科を卒業後、日本児童文学者協会の設立当初より会員として活動してきました。

1963年には小説『あり子の記』(理論社)で第1回NHK児童文学奨励賞と第3回日本児童文学者協会賞を受賞。この作品は後に映画化もされました。

また、1958年頃からはNHKの『おねえさんといっしょ』『おかあさんといっしょ』など幼児番組台本を手がけ、童謡の作詞も行いました。特に「げんこつやまのたぬきさん」は1975年にゴールデン・ディスク賞を受賞し、現在も歌い継がれています。

主な絵本作品には『こんたくんのえーとえーと』『はじめは「や!」』『ごろりんごろんころろろ』などがあり、幅広い年齢の子どもに向けた作品を発表しています。

柿本幸造さん — 教科書『くじらぐも』の挿絵画家

柿本幸造さんは1915年広島県生まれの童画家です。20歳で上京し、広告関係の会社に就職。戦後は子ども博覧会の企画や会場構成に携わり、日産自動車のカレンダーなどのイラストを担当しました。

1953年に学研の雑誌「よいこのくに」に初めて挿絵が掲載されて以来、絵本や童話の世界で活躍しました。代表作には、小学国語教科書に掲載されている『くじらぐも』(作・中川李枝子/光村図書)、「どんくまさん」シリーズ(作・蔵冨千鶴子/至光社・全27冊)があります。

1959年小学館児童文化賞、1980年フィンランド児童文学協会翻訳児童図書最優秀賞を受賞。1998年に逝去されましたが、作品は現在も多くの子どもたちに愛されています。

2015年には生誕100周年を記念して『柿本幸造 絵本画集 ひだまりをつくるひと』(学研プラス)が発売され、ひろしま美術館で記念原画展も開催されました。

『どうぞのいす』シリーズ — 続編で広がる世界

『どうぞのいす』には続編があり、同じ世界観で物語が広がります。

シリーズ展開

ひさかたチャイルドからは、以下のような関連作品が出版されています。

  • 『どうぞのいす』(1981年)
  • 『またまたどうぞのいす』
  • 『どうぞのいすの ものがたり』

いずれも香山美子さん・柿本幸造さんのコンビで制作されており、同じ優しさの世界観が楽しめます。第1作を気に入った子どもは、続編でさらに物語の世界に親しむことができます。

どれから読めばいい?

第1作『どうぞのいす』から読むのがおすすめです。椅子が初めて登場するエピソードを知ることで、続編をより楽しめます。

第1作を読んで気に入ったら、続編を順番に読んでいくと、ウサギやほかの動物たちの優しさの世界にさらに浸れます。

読み聞かせのコツ — パパにもおすすめ

『どうぞのいす』は、パパが読んでも親しみやすい絵本です。読み聞かせのコツを3つ紹介します。

落ち着いた雰囲気でゆっくり読む

この絵本は、優しい余韻を残すタイプの物語です。ゆっくり、落ち着いた声で読むと、温かな気持ちが伝わります。動物たちが「あとの ひとに おきのどく」と言う場面は、少しゆっくり読むと、言葉が心に残ります。

絵本の読み聞かせ方を紹介するブログでは「落ち着いた雰囲気で読み、読んだ後に感想等を求めるのは避けるべき」とアドバイスされています。静かに、優しい余韻を残す読み方が、この絵本の世界観に合っています。

繰り返しのフレーズは同じトーンで

「でも からっぽに してしまっては あとの ひとに おきのどく」というフレーズは、何度も繰り返されます。毎回同じトーンで読むことで、子どもがフレーズを覚え、一緒に口ずさむようになります。

繰り返しのフレーズは、子どもにとって物語への参加のきっかけです。「次はどうなる?」と予想しながら聞く楽しさを引き出せます。

寝かしつけにも日中にも使える万能絵本

『どうぞのいす』は、優しいトーンの物語なので寝かしつけにも向いています。一方で、日中に読んで「次の人のことを考える」気持ちを育むこともできます。

保育士のレビューには「モノの貸し借り等でトラブルが起こっている時に読むことで、相手の気持ちを考えたりするきっかけになり得る」とあります。シーンに応じて、柔軟に使える絵本です。

どこで買える?購入先ガイド

『どうぞのいす』はさまざまな場所で購入・閲覧できます。ご自身のライフスタイルに合わせて選んでみてください。

オンライン書店

Amazon・楽天ブックス・絵本ナビなどで購入できます。絵本ナビでは、読者レビューが400件以上掲載されており、実際に読んだ親子の感想を参考にしながら選べます。

オンライン書店なら、シリーズ続編もまとめて確認できるので、気に入った場合に続きを揃えやすいのがメリットです。

実店舗

全国の書店で取り扱っています。ロングセラーなので、大型書店の絵本コーナーには常備されていることが多く、実物を手に取って確認できます。

また、保育園・幼稚園向けの大型絵本版も一部店舗で販売されています。読み聞かせ会での使用を検討している方は、大型絵本版もチェックしてみてください。

図書館

多くの図書館で所蔵されています。1981年発売のロングセラーなので、ほぼすべての公立図書館に置いてあると言っても過言ではありません。

まずは図書館で試し読みしてから、子どもが気に入ったら購入を検討するのもおすすめです。シリーズ続編も一緒に借りて読み比べることもできます。

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まとめ — 優しさを自然に伝える絵本の力

『どうぞのいす』は、思いやりの連鎖を描いた絵本です。「あとの ひとに おきのどく」という言葉を繰り返しながら、動物たちが次の人のために食べ物を置いていく。この優しさのリレーが、2〜4歳の子どもの心に自然に響きます。

作家・香山美子さんの温かな文章と、画家・柿本幸造さんの優しいタッチの絵が、物語の世界観を一層引き立てています。1981年の発売から120刷を超え、40年以上愛され続けているのは、説教臭さがなく、優しさが循環する様子を見せてくれるからです。

読み聞かせのコツは、落ち着いた雰囲気でゆっくり読むこと、繰り返しのフレーズは同じトーンで読むこと。寝かしつけにも日中にも使える万能絵本です。

「次の人のことを考える」という小さな思いやりが、大きな優しさの循環を生む。そんなメッセージを、2〜4歳の子どもに自然に伝えられる絵本として、『どうぞのいす』を手に取ってみませんか。

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この記事を書いた人

三姉妹のパパ「たっさん」です。
育休10ヶ月を取った30代会社員。
家族で実際に楽しんだ絵本・まんが・アニメを、
年齢別おすすめ・正直レビュー・パパ目線で発信しています。

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