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「てんぐちゃんの持ってるもの、全部いいなぁ」
だるまちゃんがてんぐちゃんに憧れて、団扇も帽子も鼻も下駄も、次々と「ぼくもほしい」と欲しがる姿。三姉妹と読んでいると、お友達の持ち物を羨ましがる気持ちって、いつの時代も変わらないんだなと感じます。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』は、1967年から続く加古里子さんの代表作です。だるまちゃんの「ほしい」を受け止めて、お父さんが家にあるもので工夫して用意してくれる。その温かい家族描写が、読み聞かせていると胸にじんわり響きます。
この記事では、育休10ヶ月のパパとして三姉妹と実際に読んできた経験をもとに、『だるまちゃんとてんぐちゃん』の魅力と読み聞かせのコツを紹介します。
最後まで読むと、だるまちゃんシリーズ全体の読む順番や、年齢別の楽しみ方がわかります。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』ってどんな絵本?基本情報
- タイトル: だるまちゃんとてんぐちゃん
- 作者: 加古里子(かこさとし)
- 出版社: 福音館書店
- 初版: 1967年11月
- 対象年齢: 3歳〜小学校低学年
- ページ数: 28ページ
- サイズ: 縦26.5cm × 横19cm(横開きの大型絵本)
1967年の刊行から60年近く読み継がれているロングセラーです。加古里子さんは「からすのパンやさん」「だるまちゃん」シリーズで知られる、日本を代表する絵本作家のひとり。工学博士でもあった加古さんならではの、緻密で温かい絵が魅力です。
だるまちゃんシリーズの第1作でもあり、このあと「だるまちゃんとかみなりちゃん」「だるまちゃんとうさぎちゃん」など続編が多数出版されています。
パパ目線で見ると、お父さんが家にあるもので工夫する姿に共感する場面が多く、読み聞かせしていて「こういう父親でありたいな」と思わされる絵本です。
あらすじ:てんぐちゃんに憧れるだるまちゃんの物語
だるまちゃんは、てんぐちゃんと遊ぶのが大好き。
ある日、てんぐちゃんが持っている小さなうちわを見て、だるまちゃんは「ぼくもほしいな」と思います。家に帰ってお父さんに頼むと、大きな団扇をたくさん出してくれますが、どれも大きすぎる。だるまちゃんはやつでの葉っぱを見つけて、ちょうどいい大きさの団扇に見立てます。
次は、てんぐちゃんのぼうしがいいな。お父さんは色んな帽子を出してくれますが、どれも違う。だるまちゃんはお椀を頭に乗せて、てんぐちゃん風の帽子にします。
そして、てんぐちゃんの長い鼻もほしい。だるまちゃんはもちを鼻の上に乗せて、長い鼻に見立てます。
最後は、てんぐちゃんのはきもの。一本歯の高い下駄です。お父さんは色んな履物を出してくれますが、合わない。だるまちゃんは積み木に紐を通して、一本歯の下駄に見立てます。
こうして、だるまちゃんはてんぐちゃんとそっくりな姿になって、ふたりで仲良く遊びます。
ストーリーは単純ですが、だるまちゃんの「ほしい」とお父さんの「じゃあ、こうしてみよう」のやりとりが、何度読んでも心地いいテンポで進みます。
加古里子(かこさとし)の世界観と人気の理由
加古里子さん(1926〜2018)は、東京大学工学部を卒業後、化学会社に勤めながら児童文化活動に取り組み、絵本作家として独立した異色の経歴を持つ作家です。
科学的な視点と温かい人間描写が両立しているのが、加古さんの絵本の特徴です。『からすのパンやさん』では、パンの種類が何十種類も細かく描き込まれ、『だるまちゃん』シリーズでは、だるまちゃんの家にある道具や遊び道具が丁寧に描かれています。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』でも、お父さんが出してくれる団扇や帽子、履物の種類が豊富で、子どもたちは「これ知ってる」「これなんだろう」と、絵を眺めるだけで楽しめます。
また、加古さんの絵本には「子どもの主体性を尊重する」姿勢が貫かれています。だるまちゃんは、お父さんが用意してくれたものをそのまま受け取るのではなく、自分で「これがいい」と選び、工夫します。この「自分で選ぶ・工夫する」プロセスが、子どもたちの成長を肯定してくれる物語になっています。
パパ目線で読むと、お父さんの存在感が大きいのも加古さんの絵本の特徴です。絵本の中では母親が中心になりがちですが、『だるまちゃんとてんぐちゃん』では、お父さんが子どもの「ほしい」に寄り添い、一緒に考える姿が描かれています。
加古里子さんの他の代表作としては、以下の作品が有名です。
- からすのパンやさん(1973年・福音館書店)
- どろぼうがっこう(1973年・偕成社)
- おたまじゃくしの101ちゃん(1973年・偕成社)
- だるまちゃんとかみなりちゃん(1968年・福音館書店)
だるまちゃんシリーズの起点として『だるまちゃんとてんぐちゃん』を読んだあとは、「からすのパンやさん」に進むのもおすすめです。
お父さんの「工夫」が温かい家族描写
『だるまちゃんとてんぐちゃん』で印象的なのは、お父さんの対応です。
だるまちゃんが「てんぐちゃんみたいな団扇がほしい」と言うと、お父さんは「じゃあ、うちにある団扇を全部出してみよう」と、大小さまざまな団扇を並べてくれます。どれも違うとわかると、だるまちゃんは自分で「やつでの葉っぱ」を見つけます。
お父さんは、だるまちゃんの要望に対して「それは無理だよ」とは言いません。まずは家にあるもので試してみる。それでもダメなら、だるまちゃんが自分で見つけるのを待つ。この姿勢が、読んでいてとても温かく感じます。
育休中に三姉妹と過ごしていると、「○○がほしい」「△△みたいなのがいい」と要望が次々と出てきます。すぐに買い与えるのではなく、「家にあるもので工夫してみよう」と一緒に探すと、子どもたちは意外なものを見立てて遊び始めます。
だるまちゃんのお父さんの対応は、まさにこの「一緒に工夫する」姿勢です。結果として、だるまちゃんは自分で見つけた「やつでの葉っぱ」や「お椀」や「積み木」に満足します。
パパとして読み聞かせていると、「こういう父親でありたいな」と思わされる場面が何度も出てきます。
だるまちゃんシリーズ全体の紹介と読む順番
『だるまちゃんとてんぐちゃん』は、だるまちゃんシリーズの第1作です。このあと、加古里子さんは50年以上にわたって続編を描き続けました。
主なだるまちゃんシリーズ(刊行順)
- だるまちゃんとてんぐちゃん(1967年)
- だるまちゃんとかみなりちゃん(1968年)
- だるまちゃんとうさぎちゃん(1977年)
- だるまちゃんととらのこちゃん(1987年)
- だるまちゃんとだいこくちゃん(2001年)
- だるまちゃんとやまんめちゃん(2015年)
- だるまちゃんとにおうちゃん(2016年)
- だるまちゃんしんぶん(2016年)
- だるまちゃんとはやたちゃん(2017年)
- だるまちゃんとかまどんちゃん(2018年・加古里子さん最後の絵本)
全部で10冊以上あり、どれもだるまちゃんが色んな友達と遊ぶ物語です。
おすすめの読む順番
初めて読むなら、まずは第1作の『だるまちゃんとてんぐちゃん』から始めるのがおすすめです。だるまちゃんの性格やお父さんとの関係がわかり、シリーズ全体の世界観に入りやすくなります。
次に読むなら、『だるまちゃんとかみなりちゃん』。こちらは雲の上のかみなりちゃんの家に遊びに行く冒険物語で、てんぐちゃんよりもスケールが大きくなっています。
その後は、子どもの好みに合わせて選ぶといいでしょう。動物が好きなら「だるまちゃんとうさぎちゃん」「だるまちゃんととらのこちゃん」、昔話が好きなら「だるまちゃんとだいこくちゃん」がおすすめです。
なお、だるま系の絵本として『だるまさんが』もありますが、こちらはかがくいひろしさんの作品で、作風はまったく異なります。『だるまさんが』は0〜2歳向けのリズム絵本で、『だるまちゃんとてんぐちゃん』は3歳〜小学生向けのストーリー絵本です。
だるま系の絵本を年齢別に読み進めるなら、以下の順番がおすすめです。
- 0〜2歳: 『だるまさんが』(かがくいひろし)
- 2〜3歳: 『おしくらまんじゅう』(かがくいひろし)
- 3歳〜: 『だるまちゃんとてんぐちゃん』(加古里子)
年齢別の楽しみ方(3〜4歳/5歳〜小学生)
3〜4歳:絵を眺めて「これなんだろう?」
3〜4歳の子は、ストーリーよりも絵を眺めるのが楽しい時期です。『だるまちゃんとてんぐちゃん』では、お父さんが出してくれる団扇や帽子、履物がたくさん並ぶページがあります。
「これは何の帽子かな?」「この団扇、大きいね」と、一つひとつ指差しながら読むと、子どもたちは夢中になって見つめます。
また、だるまちゃんが「やつでの葉っぱ」や「お椀」や「もち」を見つける場面では、「これ、うちにもあるかな?」と一緒に探してみるのも楽しい遊びです。
5歳〜小学生:「自分で工夫する」楽しさ
5歳以降になると、だるまちゃんが自分で工夫して見立てる過程が理解できるようになります。
「やつでの葉っぱを団扇に見立てる」「お椀を帽子に見立てる」「もちを鼻に見立てる」。この「見立て遊び」は、子どもたちの想像力を刺激します。
読み聞かせのあとに、「うちにあるもので、てんぐちゃんみたいなものを作ってみる?」と声をかけると、子どもたちは家の中を探し始めます。ダンボールで帽子を作ったり、紙を丸めて団扇にしたり、工作遊びに発展することもあります。
また、小学生になると、お父さんの対応に共感する子もいます。「お父さん、優しいね」「だるまちゃん、自分で見つけてえらいね」と、物語の背景にある家族関係を読み取れるようになります。
育休中に長女めいと読んでいると、「私もお椀を帽子にしてみたい」と言い出すことがありました。実際にやってみると、お椀が頭に乗らず、「だるまちゃんだから乗るんだね」と納得していました。こうした「やってみたい」気持ちを引き出してくれる絵本です。
パパが読み聞かせるコツ+まとめ
読み聞かせのコツ
1. お父さんのセリフはゆっくり、温かく
「じゃあ、うちにあるものを出してみよう」と、お父さんが言う場面では、ゆっくり、温かく読むと、だるまちゃんへの愛情が伝わります。
2. だるまちゃんの「ほしいな」は素直に
だるまちゃんが「ぼくもほしいな」と言う場面は、素直に、でもわがままに聞こえないトーンで読むのがコツです。憧れの気持ちを込めて読むと、子どもたちも共感しやすくなります。
3. 絵をじっくり見せる
団扇や帽子、履物がたくさん並ぶページは、子どもたちがじっくり見たがります。急いでページをめくらず、「どれがいいかな?」と一緒に探す時間を取ってあげてください。
4. 読み終わったら「見立て遊び」に誘う
「うちにあるもので、てんぐちゃんみたいなものを作ってみる?」と声をかけると、子どもたちは喜んで探し始めます。工作遊びに発展することもあり、絵本がきっかけで親子の時間が広がります。
まとめ
『だるまちゃんとてんぐちゃん』は、1967年から続く加古里子さんの代表作です。
- てんぐちゃんに憧れるだるまちゃんの「ほしい」を、お父さんが温かく受け止める家族描写
- 自分で工夫して見立てる楽しさを教えてくれる物語
- 3歳〜小学生まで長く楽しめるロングセラー
だるまちゃんシリーズの第1作として、まずはこの絵本から始めてみてください。読み終わったら、子どもたちと一緒に「見立て遊び」をするのもおすすめです。
育休中のパパとしては、お父さんの「じゃあ、うちにあるものを出してみよう」という姿勢に、いつも励まされています。子どもの「ほしい」に寄り添い、一緒に工夫する。そんな時間を大切にしたいなと思わされる絵本です。
だるま系の絵本をもっと読みたい方は、『だるまさんが』や『おしくらまんじゅう』も合わせてチェックしてみてください。
パパが選んだ絵本ベスト30は、こちらの記事でまとめています。
3歳の寝る前におすすめの絵本15選は、こちらの記事で紹介しています。
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